このたびはご来駕賜り、誠にありがとうございます。
沼津市での初の個展を、昭和天皇ゆかりの沼津御用邸記念公園 東附属邸にて開催させていただけますことを、大変嬉しく思うとともに、身の引き締まる思いです。
幾度となく推敲・揮毫を繰り返し、数ヶ月かけてようやく作品は完成します。一つの作品を何百枚と書き続けていくうちに、ある日突然思いがけないことが起こります。ほんのわずかですが、筆跡に今までと違う表情が出るのです。そのかすかな光を頼りに、そして積み上げながら、作品を徐々に「成長」させていきます。
私は、この「かすかな光」こそ「神助」だろうと思います。そんな奇跡に出会いたくて毎日書き続けています。
とはいえ、まだまだ拙く未熟な作品ばかりであることも事実です。今後一層の努力精進に努め、より「力強く、洗練された現代書」を作り出す覚悟ですので、是非ご指導・ご鞭撻また応援のほど、よろしくお願い申し上げます。末筆ながらご多幸をお祈りし、書中にてお礼とさせていただきます。 謹白
平成19年4月吉日 石田不空
作品目録
| No. | 題名 | 読み・意味・出典 | 筆 | 墨 |
| 1 | 五福祥来 | ごふくしょうらい・五つの幸福がめでたく集まってくる。(五福…長寿・富裕・無病息災・道徳を楽しむ・天命を全うする) | 幻奏 (筆庵) |
油煙墨 |
| 2 | 快 | こころよい | 五狼五狸 (筆庵) |
青墨 |
| 3 | 安詳 | あんしょう・心が静かに落ち着いた状態。思念と自覚を具えたさま。法華経 方便品 「安祥而起」より | 九成宮用筆 (筆庵) |
油煙墨 |
| 4 | ありがとう | 柳葉 (久保田号) |
油煙墨 | |
| 5 | 十駕 | じゅうが 十日間走り続けること。転じて凡庸な人でも不断に努力すれば成功するの譬え。 |
幻奏 (筆庵) |
油煙墨 |
| 6 | さよなら | 柳葉 (久保田号) |
松煙墨 | |
| 7 | 牧水の歌 | 明方の月は冴えつつ霧島の山の谷間に霧たちわたる | 狼毫長鋒(筆庵) | 青墨 |
| 8 | 漣 | さざなみ | 昇雲 (筆庵) |
青藍花 (呉竹) |
| 9 | 鳳舞 | ほうぶ・鳳凰が舞い遊ぶの意。 天下泰平に譬えて言う。 | 相生 (筆庵) |
結松心 (呉竹) |
| 10 | 草にすわる | 八木重吉の詩 | にしき (久保田号) |
松花 (呉竹) |
| 11 | 楽只 | らくし・大いに楽しむ | 幻奏 (筆庵) |
油煙墨 |
| 12 | 牧水の歌 | 白鳥は悲しからずや 空の青 うみのあをにも 染まずただよふ | 柳葉 (久保田号) |
油煙墨 |
| 13 | 登高 | とうこう・高みに登る | 兼毫 (筆庵) |
油煙墨 |
| 14 | 明月之胎珠 | めいげつのたいしゅ 明るく輝く貝の中の玉。至宝の意 |
小筆 | 油煙墨 |
| 15 | つけもののおもし | まどみちおの詩 | 双料写巻 | 油煙墨二種 |
| 16 | 和其光同其塵 | その光を和し、その塵に同ず 才知を隠して表に出さず、世俗の中にあって異和を起さぬこと。和光同塵の精神。 |
清明 (筆庵) |
松煙墨 |
| 17 | 始まりの君へ | 布施明の歌の一節 | かな用筆 | 登雲龍 (南松園) |
| 18 | 咸鳳祥麟 | かんほうしょうりん 鳳凰・麒麟、共にめでたいことの前兆である。 |
玄武 (筆庵) |
松煙墨 |
| 19 | うさぎ | まどみちおの詩「うさぎ」冒頭の一節 | 小筆 | 松煙墨 |
| 20 | 琴中趣 | きんちゅうのおもむき・琴という楽器そのものの持っている味わいと楽しみ | 幻奏 (筆庵) |
養静 (呉竹) |
| 21 | 蝶 | ちょう | 幻奏 (筆庵) |
秋月 (南松園) |
| 22 | 無境是真機 | むきょうはこれしんき 逆境は、真のきっかけとなる。 |
霊機震天 | 油煙墨 |
| 23 | 青霞 | せいか・志が高いこと | 内地黒天尾 (筆庵) |
四海昇平 (鈴鹿) |
| 24 | 美智子様の御歌二首 | かすみつつ晴れたる瀬戸の島々をむすびて遠く橋かかりたり・かの町の野にもとめ見し夕すげの月の色して咲きゐたりしが | 面相筆 (筆庵) |
登雲龍 (南松園) |
| 25 | 牧水のことば | 歌集「ひとりうたへる」序文 | 双料写巻 | 信印呉竹 (呉竹) |
| 26 | 牧水の歌 | しみじみと けふ降る雨は きさらぎの 春のはじめの 雨にあらずや | 面相筆 (筆庵) |
登雲龍 (南松園) |
| 27 | 遊 | ゆう・あそぶ | 幻奏 (筆庵) |
松煙墨 |
| 28 | 牧水の歌 | あめつちの こころあらはに あらはれて かがやけるかも 富士の高嶺は | 面相筆 (筆庵) |
登雲龍 (南松園) |
| 29 | 霧 | きり | 幻奏 (筆庵) |
松煙墨 |
| 30 | 凌雲 | りょううん 雲よりも高く登る、超俗へのこころ。 |
大樹 (筆庵) |
仏生 (呉竹) |
| 31 | 豊 | ゆたか | 幻奏 (筆庵) |
油煙墨 |
| 32 | 偈 | 拾得の詩 本来万物皆空であるから、無一物だけに塵を払うこともない。人もしこの仏法の真諦を悟ることができれば端座して座禅を行い、無念無想の境に入ることもない。 |
幻奏 (筆庵) |
秋月 (南松園) |
| 33 | 愁 | うれい | 幻奏 (筆庵) |
秋月 (南松園) |
| 34 | 不動明王の種子 (カンマーン) |
不動明王は酉年の守り本尊。「種子」とはその仏さまを象徴する梵字 | 永和 (筆庵) |
登雲龍 (南松園) |
| 35 | 心如水 | 心は水のごとし・心境が水の如く清澄である | 幻奏 (筆庵) |
松煙墨 |
| 36 | 山静松声遠 秋清泉気香 |
山静かに松声遠く 秋清く泉気香(かんば)し 山はもの静かで松に吹く風の音は遠くして秋は清らかで泉気は香しく感ずる。 |
相生 (筆庵) |
白澤 (古梅園) |
| 37 | 花 | はな | 福寿 (筆庵) |
四海昇平 (鈴鹿) |
| 38 | 可憐 | かれん(扇面天地反転使用) | イタチ長鋒 | 青藍花 (呉竹) |
| 39 | 玉潤水鮮 山静雲発 |
玉潤 水 鮮やかなり 山 静かにして雲 発す・みずみずしく水は清らかに、静かな山中に雲が起きる。 | 福寿 (筆庵) |
四海昇平 (鈴鹿) |
| 40 | するめ | まどみちおの詩 | イタチ長鋒 | 青藍花 (呉竹) |
| 41 | 震天 | しんてん・天地をゆるがす | 抱雲月霞 霊機震天 |
油煙墨 |
| 42 | 牧水の歌 | 幾山河こえさりゆかば 寂しさのはてなむ国ぞ 今日も旅ゆく | イタチ長鋒 | 青藍花 (呉竹) |
| 43 | いのち | 羊毛短鋒 | 松煙墨 | |
| 44 | 尾上柴舟の歌 | 堪へがたき 心の憂 秋風に 揺らるる花を ひとり見るかな | 羊毛長鋒 | 結松心 (呉竹) |
| 45 | 出会い | 写真家 星野道夫の文の一節 | 双料写巻 | 油煙墨 |
| 46 | 牧水の歌 | 今日もまた 心の鉦を打ち鳴らし 打ち鳴らしつつ あくがれてゆく | テン長鋒 | 松花 (呉竹) |
| 47 | 三島由紀夫の言葉 | 老いと共に成長するもの 芸ただひとつ | 羊毛短鋒 | 油煙墨 |
| 48 | 御製 (昭和天皇御歌) |
世の中も かくあらまほし おだやかに 朝日にほへる 大海の原 | 幻奏 (筆庵) |
油煙墨 |